こないだはこの華壱の「魚醤」を食べてみて、いまいちぴんとこなかったのです。
やはり最初に「魚醤」というのはいきなり変化球から行っちゃったということになるでしょうから、もっと基本に近いやつを食べてみることにしました。
「醤油」が一番基本ですが、まあ折角だから、名古屋ならではの「白醤油」のほうにしてみました。
華壱 中華そば 白醤油 ¥750
うーん。やはり。なるほどなあ。要するにですね・・・
俺にはやっぱりこのテの、「こだわってます系」ラーメンとは相性が良くないのかなあと思います。
いえ、大変美味しゅうございますよ。
普通に美味しいんだけど、なんか、普通なんだよなあ。
こう、心にぐっと来るものがない。
スープは、なかなかに熱々の温度である。ラーメンというものはダイナミズムが要であるから、こういう熱々のラーメンはダイナミックで好ましいと思います。ぬるいラーメンなんて面白くないですからね。
しかし、この、ウルメ、カタクチの煮干しを中心に、高級素材を含めた数十種類もの素材を重ね合わせて作り上げた店主渾身のスープとやらの味は、俺にはやはり、良さがよくわかりませんでした。
俺が舌馬鹿なだけかもしれません。わかる人にはわかるのでしょうか。
しかしですよ、これだけ温度がアツアツだと、そういう、高級素材を使っているだとか、何種類も複雑に旨味が絡み合っているだとか、そういったいわゆる繊細なディティールの部分というのは、わかりにくくなるものではないでしょうか?こうまでアツアツでも、それでもなおかつ、このスープの出汁の風味云々がわかるだなんて、そんなのは、ただ単にわかったフリをしたいだけの、糞オタクさん達の戯言なのではないでしょうか?それこそ、舌バカはどっちだよ?って話。
普通に考えて、これほどアツアツなスープだと、そういう、何種類もの素材の旨味が重なっているかどうかなんて、判別できなくなるのが当たり前なのではないでしょうか。なのにやたらとウンチクを垂れてこの店をヨイショするオタクブロガーさん達は、舌で味を味わっているのではなくて、「高級素材を何種類も使っている」という情報を味わっているだけなのではないでしょうか?俺はそう思いますよ。
勿論、このスープの温度を下げれば、おそらくそういった、ディティールの面が浮き彫りになり、よりわかりやすく味わえるには違いありません。でもそうしてしまうと、今度はラーメンの要であるダイナミズムをスポイルしてしまうことになります。ぬるいラーメンなんて、いくら素材のディティールがわかるとしても、やっぱりラーメンとしては不味いですよね。
だから、繊細さを犠牲にしてまでも、ラーメンとしてのダイナミズムをとって熱々の温度で提供するというこの店の判断は、間違っていないと思います。だがやはりそれによって、せっかく丹精こめて作った複雑なスープが味わいにくくなっている事は否めないのです。
あちらを立てればこちらが立たず。なかなか難しいものですよね・・・・・・
要するにですね、この華壱の「白醤油」や、先日の「魚醤」もだけど、どちらにしても、ラーメンという食べ物の、構造的欠点を免れていないように思うのだ。
そういう言い方をすると、まるでラーメンという食べものが、歴史が浅く未成熟だから欠点がある、と批判しているように捉えられるかもしれないが、そういう事を言っているのではない。もっと歴史のある、伝統的な食べ物だって、どんな食べ物でも、必ずその食べ物であるがゆえの欠点はあるのだ。
例えば、お寿司。美味しいですよね。お寿司のご飯には必ず、人肌程度に冷めた酢飯を使いますよね。ほかほかの炊きたてのご飯では、お寿司として成り立たない。
ですが、世の中には、酸っぱい食べ物がダメという人もいるでしょう。そういう人にとっては、このお寿司っていう食べ物は、必ず酢を使うのであるから、決して楽しんで食べることができるものではない。
だからといって、そういう人向けに、酢飯ではなく、普通の炊き立てのご飯でお寿司を作ってあげたとしても、それはもはやお寿司ではなく、お寿司の形をしたなにか別の食べ物である。あえて名をつければ、「一口海鮮丼」とか?そもそもそんな炊き立てのご飯じゃ、手で握れないでしょう。どっちにしろ、お寿司というものは、適度に冷めた酢飯がないと、どうしても成り立たない食べ物なのであり、それゆえに、酸っぱいものが苦手な人は楽しむことが出来ないという、それ特有の欠陥を持っているのである。(もちろん、他にもお寿司の欠点はあります。手で持って食べないと崩れやすくて食べにくいとか、廻らない店に行くとtoo expensiveで庶民にはめったに食べられないとか、いろいろ。)
だから、「ラーメンという食べものには構造的欠点がある」と言ってもそれはラーメンを批判しているわけじゃなくて、どんな食べ物でもそれぞれ特有に持つ「構造的欠点」が、ラーメンにもやはりある、という、それだけのことです。
では。ラーメンの持つ構造的欠点、というのは、この場合はどの点を指すか?つまり、「ラーメンは熱々じゃないと絶対に美味しくない」という点です。近頃は日本人が軟弱化傾向にあるせいか猫舌の客が妙に増えてきたので、そういう客に合わせてぬるいラーメンを出してくる店も多くなってきましたが、ああいうのはやっぱり、俺はぜんぜん好きになれません。やっぱりラーメンはアツアツじゃないと。軟弱な猫舌の客に媚びた卑屈なラーメンなんて、食べても面白くありません。
その点、この「華壱」の白醤油ラーメンは、とてもアツアツで提供される。ラーメンならではのダイナミズムを楽しめるという点においては、まさに完璧、バッチリだ。しかし、その、ラーメンならではの醍醐味である熱さゆえに、この繊細なまでにこだわった高級食材やらなんやらのディティールがスポイルされてしまっているというわけだ。
結局、いくら店主が丹精をこめて複雑で完璧なスープを作りあげても、結果としてそれは、ムダな努力ということになってしまうのだ。
俺が思うに、やはりこういう、あまりにも細部にこだわり過ぎた複雑で繊細なスープってのは、「ラーメン」というジャンルの料理には、マッチしないのではないでしょうか。
ラーメンにマッチするのはやはり、濃厚な豚骨スープや鶏白湯、またはエグミが出るまでに煮出した煮干しスープ、あるいは背脂と化学調味料をたっぷり効かせたジャンクなスープ、等々といった、要するに、ラーメンならではのアツアツな高温にも負けないほど強靭で特出した特長のあるスープに限る、ということなのではないだろうか。
その点にあてはめてみると、この「華壱」の魚介スープは、複雑でしかもあまりに綺麗にまとまり過ぎているために、強靭さに欠けるのだ。したがって、ラーメンならではのアツアツ温度によって、吹き飛ばされてしまう。
したがって、もし今のままの方向性でより良いラーメンにするのであれば、俺の考えの一つとしては、あまり高価な食材はやめて、安い食材だけにして、その代わり、今の3倍~5倍の濃さのダシを取ればいいのではないかなあ、と思う。そして、はらわたとかアタマとかをとらずに、きっちりエグミや雑味も出す。アク取りも、ほどほどに留めておく。繊細さには欠けるだろうけど、その代わり、ラーメンならではの高温に吹き飛ばされないほど強靭でダイナミックなスープが出来上がるに違いない。
もしそうするのがイヤなら、もう一つの俺の考えだが、いっそのこと、ラーメンを作るのをやめて、もっと別の料理にすればいいのだ。別の料理なら、ラーメンほど温度を上げなくてもいいだろうし、それに塩分ももっと控えめにすることもできるだろう。そうすれば、高級素材を何種類も使って綺麗にまとめ上げた繊細なダシも、存分に生かすことができるだろう。
まあこの俺の2つの考えはただの素人の思いつきなので、的を外しているのかもしれない。でも、今のラーメンのままでは、とてもラーメンならではの良さを存分に発揮しているようには、お世辞にも思えないのだ。むしろラーメンならではの欠点が浮き彫りになってしまっている。
この間もそうだったんだけど、今回も、やはりお客は少なく、俺の他にもう一人男性客がいたのみである。
やはりこの店、ネットや雑誌なんかでは話題にはなっているけれども、実際の店舗はあまり繁盛していないという、いわゆるヴァーチャルな人気店ということではないだろうか。
確かに一部の熱狂的なラーメンオタクブロガーさん達はこぞってこの店を評価しているけれども、結局一部のオタクたちが騒いでいるだけであって、現実には一般の人には特に人気ってわけでもないのだろうね。
俺は彼らのようなオタクではなくて、単なるラーメン好きのしがない一般人ですから、やはりこの店の良さはいまいちわからない、ということになるのでしょう。
二回食べたけども、やっぱり俺には合わないお店だという結論に至りました。俺と同じような、オタクではない一般的なラーメン好きの方には、やはりおすすめ致しません。
今日の評価は:★★★ 3、です。
ま、普通に美味しいには美味しいですからね。でも、本当に心の底から旨いっ!とは思えませんでした。
華壱 はないち
名古屋市名東区牧の原1-1501
11:30~14:00
18:00~22:00
定休日:火曜日
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